相続した空き家は売るべきか?迷ったときの判断基準と進め方を解説

相続で実家を引き継いだけれど、このまま空き家として残すべきか、それとも売るべきか。
多くの方が、思い出と現実の負担のあいだで悩んでいます。
固定資産税や維持費といったお金の問題に加えて、管理にかかる時間や手間、さらには将来のライフプランまで、考えるべきポイントは少なくありません。
一方で、空き家を放置することで生じるリスクや、相続した空き家を売却する際に使える税金の優遇制度など、知っておきたい情報も数多くあります。
この記事では、相続した空き家を売るべきかどうかを判断するための基準から、手続きの流れ、売却後にトラブルを避けるコツまで、順を追って分かりやすく整理して解説します。
相続した実家について、後悔のない選択をしたい方は、ぜひ最後まで読み進めてみてください。

相続した空き家を売るべきか判断する基準

相続した空き家については、「売る」「貸す」「保有する」という3つの選択肢を整理して比べることが大切です。
まず売却は、まとまった資金を得て固定資産税や管理負担から早期に解放されたい場合に向いています。
一方で賃貸として貸す方法は、空き家を活用しながら家賃収入を得る可能性がある反面、空室リスクや修繕対応などの管理業務が継続します。
そのまま保有する場合は、将来自分や家族が居住する予定があるときの選択肢になりますが、活用予定が不明確なまま長期保有すると、空き家として老朽化が進みやすい点に注意が必要です。

こうした選択肢を検討する際には、まず現在の空き家の状態や立地、築年数などを整理し、売却しやすさや賃貸需要の有無を確認することが役立ちます。
総務省の住宅・土地統計調査では、全国の空き家数と空き家率が調査されており、令和5年調査の速報では空き家率は13.8%とされています。
空き家が増加傾向にある中で、早めに方針を決めないと、周囲にも同様の空き家が増え、売却や賃貸の競合が多くなる可能性もあります。
そのため、相続後できるだけ早い段階で、今後数年の活用方針を家族で話し合うことが重要です。

次に、判断の際には費用や手間の側面も具体的に確認しておく必要があります。
空き家を保有し続ける場合、固定資産税や都市計画税に加え、火災保険料、修繕費、草木の手入れなどの維持費が発生し、適切な管理を怠ると「特定空家」に指定されるおそれもあります。
一方で売却する場合は、仲介手数料や測量費、場合によっては解体費用など、一時的な支出が必要になるものの、その後の税金や管理負担はなくなります。
賃貸として活用する場合は、管理会社に委託するか自主管理とするかによっても、日常の手間と費用のバランスが変わりますので、自分たちの時間と労力に見合う方法かどうかを慎重に検討することが大切です。

選択肢 主なメリット 主なデメリット
売る 資金確保と税負担解消 思い出の住まいの喪失
貸す 家賃収入の期待 空室と管理の負担
保有する 将来利用の柔軟性 固定資産税と老朽化

相続した空き家を放置するリスクとデメリット

相続した空き家をそのまま放置すると、建物の老朽化が早まり、屋根材や外壁の剥落、庭木の越境などから近隣への被害につながるおそれがあります。
また、人の出入りがない住宅は放火や不法侵入などの標的になりやすいと指摘されており、防犯面の不安も無視できません。
こうした危険な状態が続くと、倒壊や火災によって第三者にけがや物損が生じ、損害賠償責任を問われる可能性もあります。
安全面だけでなく、近隣からの苦情や行政からの指導につながることを意識しておく必要があります。

次に、経済的なデメリットとして、固定資産税などの負担増加が挙げられます。
空き家の管理が不十分な状態が続き、周辺の生活環境に悪影響を及ぼすと判断されると、「特定空家」などに該当するとして市区町村から指導や勧告を受けることがあります。
勧告まで進むと、その敷地については住宅用地特例が外れ、固定資産税が最大でおおむね6倍程度に増える可能性があるとされています。
固定資産税の増額に加え、最終的に行政代執行により解体された場合には、その費用が所有者に請求されるおそれもあるため、長期放置は家計への負担リスクが高いと言えます。

さらに、相続した空き家を放置することは、相続人同士の人間関係にも悪影響を及ぼしやすいです。
処分方針を決めないまま年月が経過すると、固定資産税や管理費用を誰がどの割合で負担するか、管理の手間を誰が担うかといった点で不満が蓄積しやすくなります。
相続人の高齢化や世代交代が進むと、共有者が増えて意思決定がいっそう難しくなり、売却や活用の話し合い自体が進まない状態に陥ることもあります。
このように、空き家の放置は「今は困っていないから」と先送りするほど問題が複雑化し、円満な遺産整理や将来の資産活用を妨げる要因となってしまいます。

リスクの種類 主な内容 放置した場合の影響
安全面のリスク 老朽化による倒壊危険 近隣への損害賠償負担
経済的なリスク 特定空家指定で税負担増 固定資産税の大幅増加
家族関係のリスク 費用負担巡る感情対立 相続人間の関係悪化

売ると決める前に必ず確認したい相続手続きと税金優遇

相続した空き家を売却する前には、不動産の名義を自分の名前にしておく必要があります。
令和6年4月からは、相続で不動産を取得したことを知った日から3年以内の相続登記が法律上の義務となりました。
期限までに登記をしないと過料の可能性もあるため、戸籍の収集や遺産分割協議書の作成を早めに進めることが大切です。
まずは相続人と取得割合を整理し、相続登記を完了させてから売却の検討に進む流れを意識すると安心です。

相続した空き家を売却する場合、一定の要件を満たせば「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除」により、譲渡所得から最高3,000万円まで控除できる特例があります。
この特例は、被相続人が1人で居住していたことや、相続開始の日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却することなど、細かな要件が定められています。
また、同一年中に自宅の売却など他の居住用財産に関する特例を使う場合は、控除額の合計が3,000万円までとなる点にも注意が必要です。

空き家を解体してから売るか、建物を残したまま売るかによって、税金と費用の考え方も変わります。
解体を行うと解体費用が発生する一方、更地の方が買主を見つけやすく売却価額が上がる場合もあり、譲渡所得の金額に影響します。
一方で、建物を残したまま一定の要件を満たして売却することで、空き家特例の適用を受けやすくなる場面もあります。
どちらが有利かは、解体費用の見積額、見込まれる売却価額、特別控除の適用可否を総合的に比較して判断することが大切です。

確認項目 主な内容 注意したい点
相続登記の有無 名義変更の完了状況 取得を知った日から3年以内
空き家特例の要件 居住状況と売却期限 譲渡所得から最高3,000万円控除
解体の要否 解体費用と売却価額 特例適用と費用負担の比較

相続した実家を売ると決めた後の具体的な進め方

相続した実家を売ると決めたら、まず全体の流れと必要な手続きを整理しておくことが大切です。
一般的には、相続登記や必要書類の準備、査定や売却活動、売買契約、引き渡し、確定申告という順番で進みます。
相続登記については、令和6年4月から申請が義務化されており、不動産を売却する前に名義を相続人へ変更しておく必要があります。
また、身分証明書や印鑑証明書、固定資産税の納税通知書などの基本書類に加え、登録免許税や司法書士報酬などの費用が発生するため、あらかじめ資金計画を立てておくと安心です。

売却を少しでも有利に進めるためには、空き家の第一印象を整えることが重要です。
具体的には、室内の不要な家具や荷物をできるだけ処分し、掃除や換気を行うことで、室内の明るさと清潔感を高めることができます。
また、庭木が伸び放題になっている場合は剪定し、外壁や玄関まわりの汚れを落とすだけでも、建物全体の印象が大きく変わります。
このような簡易な手入れは、専門的なリフォームより費用負担が少なく、内覧時の評価を高めやすい点がメリットです。

売却後の代金は、相続人全員の合意に基づいて分配方法を決めることが基本です。
遺言書がある場合はその内容を前提にしつつ、ない場合は法定相続分を一つの目安としながら、各自の事情も踏まえて話し合いを行います。
特に、相続した空き家の3,000万円特別控除の適用を検討する場合には、売却時期や持分の持ち方によって税負担が変わることがあるため、代金の分け方とあわせて慎重に確認することが大切です。
感情的な行き違いを防ぐためには、話し合いの内容を文書にまとめ、全員が署名押印しておくなど、後から見直せる形で記録を残すことも有効です。

段階 主な内容 注意点
売却準備 相続登記と書類収集 義務化された登記確認
空き家整備 整理整頓と清掃実施 内覧向け第一印象改善
代金精算 相続人間の分配協議 合意内容の書面化徹底

まとめ

相続した空き家を「売る・貸す・保有」のどれにするかは、お金と手間、そして家族の将来設計を冷静に比べることが大切です。
放置すると老朽化や近隣トラブル、税負担の増加などデメリットが大きくなる一方で、相続手続きや3,000万円特別控除など、売却時に使える優遇もあります。
当社では、現在の状況の整理から売却の進め方、相続人間の話し合いのポイントまで丁寧にサポートします。
「うちのケースだと売るべきか」を知りたい方は、まずはお気軽にご相談ください。

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執筆者紹介

町谷 駿 (マチタニ シュン)

不動産部 マネージャー キャリア6年

保有資格

  • 宅地建物取引士
  • 相続診断士

三重県鈴鹿市出身。不動産部マネージャーとして、スピード対応と丁寧さを強みに、お客様の不動産購入・売却をサポートしております。 「お客様からフットワークが軽いね」とお褒めいただくことも多く、税金面等の制度を含め、最善のご提案を心掛けております。 LIFE DOORは、多才なスタッフで構成される少数精鋭の会社です。 他社にはない、当社ならではの不動産サービスをご提供してまいります。 「高く売りたい」「手元に多くのお金を残したい」とお考えの方は、まずは軽いお気持ちでご相談ください。

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