2026-09-30

相続した家を売却するかどうかは、費用や税金、今後の暮らし方まで関わる大きな決断です。
何から手を付ければよいのか分からず、不安を抱えたまま時間だけが過ぎてしまう方も少なくありません。
この記事では、相続した家を売却する基本の流れから、かかる費用の内訳、税金や特例のポイント、さらに住み替えや住み続ける場合の注意点までを整理して解説します。
それぞれの選択肢を比較しながら、手取り額のイメージや、相続人同士の話し合いで押さえておきたい点もお伝えします。
相続や住み替えで後悔しないために、まずは全体像をつかむところから一緒に進めていきましょう。
相続した家を売却するには、まず相続人や相続財産を確定し、遺言書の有無を確認することが出発点になります。
その上で、相続人同士で遺産分割の内容を話し合い、誰が不動産を取得して売却するのかを決めます。
話し合いの内容は遺産分割協議書にまとめ、相続人全員が署名押印したうえで、相続登記の申請に利用します。
令和6年4月1日からは、相続登記の申請が義務化されており、不動産を相続したことを知った日から3年以内の申請が必要とされています。
相続登記では、被相続人名義から相続人名義へ所有権を移す手続を行い、その内容に沿って法務局に申請します。
この際、相続関係を示す戸籍一式や住民票、遺産分割協議書などを整えておくことが重要です。
名義変更が終わることで、はじめて相続人が売主として売買契約を締結できる状態になります。
その後、売却価格の検討や内覧対応、売買契約、引き渡しといった一般的な不動産売却の流れに進んでいきます。
相続人が複数いる場合は、誰が家を取得して売却するのか、売却代金をどのように分けるのかを明確にしておく必要があります。
遺産分割の話し合いは、相続人全員の参加と合意が前提であり、合意内容を遺産分割協議書として書面に残し、全員が実印で押印することが求められます。
未成年者が相続人に含まれる場合や、相続分に大きな偏りがある場合などは、家庭裁判所で特別代理人の選任が必要となることもあります。
このような合意形成を丁寧に進めることで、売却後のトラブルを防ぎやすくなります。
| 段階 | 主な内容 | 注意点 |
|---|---|---|
| 相続関係の確認 | 相続人と遺言書の有無確認 | 法定相続人を漏れなく特定 |
| 遺産分割の合意 | 取得者と分配方法の決定 | 相続人全員の署名押印 |
| 相続登記と売却 | 名義変更後に売買契約 | 申請期限と必要書類の確認 |
相続した家を売却する場合、まず名義を被相続人から相続人へ移す相続登記が必要になり、その際に登録免許税と司法書士への報酬がかかります。
登録免許税は固定資産税評価額に税率を乗じて計算され、相続による所有権移転登記の税率は評価額の0.4%とされています。
司法書士報酬は事務所ごとに異なりますが、相続登記についてはおおむね数万円台からの報酬額が案内されており、これに戸籍の取り寄せ費用などの実費が加わります。
こうした名義変更まわりの費用は、売却手続きに入る前提として早めに把握しておくことが大切です。
次に、売却前後の実費として、土地や建物の状況によっては測量費用や建物の解体費用が発生する場合があります。
土地の境界を明確にするための測量は、面積や周辺状況により幅がありますが、まとまった金額になることが多く、売却条件にも影響しやすい費用です。
また、老朽化した建物を取り壊して更地として売却する場合、木造住宅の解体費用は坪単価で数万円台からの相場が示されており、建物規模が大きいほど負担も増えます。
そのほか、簡易なリフォームや残置物の処分、相続人や買主の引っ越し費用なども含めて、現実的な総額を見積もることが重要です。
さらに、売却代金からは仲介手数料や登記費用、印紙税などの諸費用が差し引かれるため、手取り金額の考え方にも注意が必要です。
不動産売却時の仲介手数料は、国の上限額を基準として売買価格の数%を乗じて算出されるのが一般的であり、これに消費税が加算されます。
加えて、抵当権抹消登記を行う場合の登録免許税や司法書士報酬、売買契約書に貼付する収入印紙代なども、決済時にまとめて支払うことが多い費用です。
このような諸費用をあらかじめ整理し、売却価格から差し引いた後にどの程度の金額が手元に残るのかを試算しておくと、今後の資金計画を立てやすくなります。
| 費用の種類 | 主な内容 | 資金計画での位置付け |
|---|---|---|
| 名義変更関係費用 | 登録免許税・司法書士報酬 | 売却前に必要な初期費用 |
| 売却前後の実費 | 測量・解体・片付け費用 | 物件の状態改善や引き渡し準備 |
| 売却代金から差し引かれる費用 | 仲介手数料・登記・印紙税 | 手取り金額を左右する諸経費 |
相続した家を売却すると、主に譲渡所得税(所得税・住民税)と印紙税が関係してきます。
譲渡所得税は、売却代金から取得費や諸費用を差し引いた「利益」に対して課税される仕組みです。
この譲渡所得は他の所得と分けて計算する分離課税となり、確定申告で申告する必要があります。
一方で、売買契約書に貼る収入印紙にかかる印紙税も忘れずに確認しておくことが大切です。
相続した家の譲渡所得税では、所有期間が「5年以下」か「5年超」かで税率が変わります。
所有期間5年以下の短期譲渡所得は税率が高く、5年超の長期譲渡所得は税率が低くなる仕組みです。
所有期間は被相続人がその家を取得した日から通算して判定されるため、相続した日からではない点に注意が必要です。
また、相続税を負担している場合には、その一部を取得費に加算できる「相続税の取得費加算の特例」を検討することも重要です。
さらに、条件を満たせば税負担を軽減できる特例がいくつかあります。
代表的なものとして、居住用財産を売却した場合の「3,000万円特別控除」や、被相続人が住んでいた空き家を相続人が売却したときの「相続した空き家を売却した場合の3,000万円特別控除」があります。
これらは同じ年に重ねて利用できるわけではなく、適用要件や併用の可否が細かく定められています。
どの特例が使えるかで手取り額が大きく変わるため、早い段階から条件を確認し、確定申告までのスケジュールを意識して準備することが大切です。
| 項目 | 概要 | 確認のポイント |
|---|---|---|
| 譲渡所得税 | 売却益に対する所得税・住民税 | 所有期間と税率区分の確認 |
| 取得費加算特例 | 支払った相続税の一部を取得費に加算 | 相続税申告の有無と適用期限 |
| 3,000万円控除 | 居住用財産の譲渡所得の特別控除 | 居住実態と他特例との併用可否 |
相続した家を売却する際は、相続人同士の認識をそろえ、早い段階で話し合いの場を持つことが大切です。
特に代償分割や換価分割を選ぶ場合、誰が住み続けるのか、誰が代償金を支払うのか、売却代金をどのように分けるのかを具体的に決めておく必要があります。
また、遺言の有無や内容についても確認し、法定相続分との違いがあれば事前に整理することで、感情的な対立を避けやすくなります。
こうした合意内容は、口頭だけでなく書面で残しておくと、後のトラブル防止に役立ちます。
一方で、相続した家を空き家のまま長期間放置すると、固定資産税や管理責任の面で大きなリスクが生じます。
空き家の老朽化が進み、倒壊や落下物などで他人に損害を与えた場合、所有者は民法上の損害賠償責任を負う可能性があります。
また、適切な管理が行われず「特定空家等」に該当すると勧告を受け、住宅用地に適用されている固定資産税の軽減措置が解除され、税額が大幅に増える可能性があります。
そのため、売却や活用の方針が決まっていなくても、定期的な換気や草木の手入れなど、最低限の管理は続けることが重要です。
さらに、相続した家を売却した場合には、譲渡所得の計算や特例の適用可否を正しく判断する必要があります。
譲渡所得は原則として分離課税となり、確定申告で申告することになりますが、相続税の取得費加算の特例や、被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例など、利用が検討できる制度があります。
ただし、これらの特例は適用期限や対象条件が細かく定められており、令和7年分の申告に向けたチェックシートも各国税局で公表されています。
適用の可否を自己判断すると誤りにつながるおそれがあるため、売却の契約前や年度末の確定申告前など、節目の時点で税理士などの専門家へ相談しておくと安心です。
| 場面 | 確認したい内容 | 相談先の目安 |
|---|---|---|
| 相続人で方針協議 | 分割方法と売却可否 | 相続に詳しい専門家 |
| 空き家を一時保有 | 管理方法と税負担 | 税理士や行政窓口 |
| 売却契約の前後 | 特例適用と申告要否 | 税理士など専門家 |
相続した家の売却は、登記や名義変更、相続人同士の話し合い、売却方法の選択など、早めの準備が肝心です。
売却前後には登録免許税や測量・解体・リフォーム費用など、手元に残る金額に影響する費用も発生します。
さらに譲渡所得税や印紙税、各種特例の有無で税額も大きく変わるため、自己判断だけでは不安になりがちです。
当社では、費用と税金、売却のタイミングまでトータルで整理しながらご説明しますので、まずはお気軽にご相談ください。
町谷 駿 (マチタニ シュン)
保有資格
三重県鈴鹿市出身。不動産部マネージャーとして、スピード対応と丁寧さを強みに、お客様の不動産購入・売却をサポートしております。 「お客様からフットワークが軽いね」とお褒めいただくことも多く、税金面等の制度を含め、最善のご提案を心掛けております。 LIFE DOORは、多才なスタッフで構成される少数精鋭の会社です。 他社にはない、当社ならではの不動産サービスをご提供してまいります。 「高く売りたい」「手元に多くのお金を残したい」とお考えの方は、まずは軽いお気持ちでご相談ください。
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